周辺機器

メンブレンタイプのキー構造を詳しく解説

概要

キーボードはメンブレンタイプメカニカルタイプの2つに大別されます。メンブレンタイプはラバードーム式パンタグラフ式バックリングスプリング式に更に分類することが出来、メカニカルタイプは接点接触式と静電容量無接点方式に分類されます。

  • メンブレン
    • ラバードーム式
    • パンタグラフ式
    • バックリングスプリング式

今回の記事ではメンブレンスイッチの機構と方式の細かい違いについて詳しく解説していきます。

ざっくり解説
  • ラバードーム式はペコっとした感触で厚みがあり、耐久性が低い、安価
  • パンタグラフ式はカチカチとした軽快な打ち心地で非常に薄い
  • バックリングスプリング式は重くて硬質な打ち心地、現在はほぼ絶滅のレアアイテム

メンブレンタイプとメカニカルタイプの違いが分からない方は別記事にまとめてありますのでそちらをご覧ください。

メンブレンとメカニカルの違いを分かりやすく解説概要 多くのキーボードのキー構造は2種類に大別されています。 メンブレン ラバードーム式 パンタグラフ式 ...

メンブレンスイッチとは

メンブレンとは膜を意味する言葉で、圧膜印刷技術を応用したシート型スイッチのことです。一般的には導電インクをシルクスクリーンで印刷した複数のポリエステルフィルムを重ね合わせ、その間に穴の開いた絶縁物質(スペーサー)を挟みこんだ作りになっています。キーを押下することにより上部接点シートが下部接点シートと接触し電流が流れて入力される仕組みです。

単純な構造になっており、大量生産に向いていることから、安価なキーボードはメンブレンスイッチを使ったものが多いです。また、シート状のため薄くすることが出来自由なデザインやカラーリングにも対応しています。

メンブレンスイッチはキーボードに限らず、電子レンジヒーターの操作パネルリモコンなど様々な場所に使われています。

・スイッチを組み込むことが簡単でインタフェースも自由
・メカニカルより水に強い構造
・薄型にすることが出来る
・経年劣化で弾力を失っていくため接触不良が発生しやすい
・全て繋がっているため一部を修理することが出来ない

 

ラバードーム式

  • ゴム製ドーム型の「ラバードーム」が使われている
  • ペコペコとして打ちづらい感触
  • 安価ゴムが採用されているため耐久性が低い
  • 構造が単純で価格は500円から3000円程度と安価

メンブレンタイプの代表、ラバードーム式です。一般的にメンブレンキーボードというとラバードーム式を指します。ラバードーム式キーボードでは広く普及しており、深く拘らずにキーボードを購入した場合、大体はラバードーム式、またはパンタグラフ式でしょう。

ゴムで作られたドーム状のラバードームと呼ばれるものがキーの下に設置してあり、キーを押すことによってラバードームとスイッチの接点が接触し電流が流れる仕組みになっています。

打ち心地は悪い

ラバードームはゴムで作られているため反発力が強いですが、力をかけ続けていくと、ある一点で突然沈み込む特徴があります。ゴム特有のペコペコとした感触が押下するたびに指先に伝わるので、あまり良い打ち心地ではありません。

また、キートップだけでは不安定で垂直にキーを押すことが出来ず、キートップとラバードームの間にガイドと呼ばれる部分が必要になります。このガイドがあるためキーボードを薄くすることが構造上困難であり、キートップの中央部分以外に偏った力を加えてしまうとガイド部分と側面擦れ、摩擦により押し辛さを感じる構造になっています。

耐久性も低い

ラバードームはほとんどのキーボードが安価なゴムを使っているため耐久性がありません。長時間使用することにより、指に負担を掛けるだけでなく、ラバードームが破損し、故障の原因になります。

価格は500円から3000円程度と安価

大量生産が簡単なメンブレンタイプ、かつラバードーム自体も1枚敷くだけなので単純な構造となっており低コストで生産することが出来ます。価格帯も500~3000円程度と安価です。

判別方法はゴムが見えるか

判別方法は簡単。キーを垂直方向に引っ張り、キートップを剥がせば分かります。

キートップの形状はガイド部分が伸びており、さながらキノコのような形をしています。ボード側に丸いゴムらしきものが見えたらラバードーム式です。

 

パンタグラフ式

  • パンタグラフに似た支持構造を持つ
  • 軽くて軽快な打ち心地
  • 薄い構造にすることが出来るため、ノートパソコンなどに採用されている
  • 価格は3000円から10000円程度

キーの反発自体はラバードームを利用していますが、ラバードーム式のようにガイドを使った設計ではありません。電車と架線を接触させるためのパンタグラフの構造に似た支持構造を取り入れ、ガイドを使わずとも垂直に押下出来るようにした構造です。

 

打ち心地は軽い

支持構造を持つため、ゴム特有のペコペコした感触がなく、キーストロークも短いので軽い打ち心地と言えます。また、支持構造によりキーのどの部分を押下しても垂直に入力され、擦れ・摩擦による押し辛さはありません。

構造上ステップスカルプチャが困難であることから、長時間のタイピングには向かないとされていますが、キーストロークが短いため、指の動きが少なくなり疲れにくいという意見もあります。

キーストロークとはキーが沈み込む深さのこと。
ステップスカルプチャとは、キーボードのキーが横1列ごとに段差を持つことによって傾斜させる構造のこと。上段は高く、下段は低めになっている。

何といっても薄い

パンタグラフ式の構造上、キーストロークが短く、ラバードームを薄くすることが出来るので、キーボード自体が薄くて軽いものが多いです。主にノートパソコンなどに使われていますが、薄くて軽い、そしてシンプルなので、通常のキーボードでも使われることが多く、オシャレなイメージが強いAppleなどもキーボードでよく採用しています。

価格は3000円から10000円程度

支持構造にコストが掛かるため、ラバードーム式より価格が高くなります。価格帯としては大体3000円~10000円程度となります。

判別方法は支持構造が見えるか

ノートパソコンに使われているようなキーボードの主流はパンタグラフ式です。見て薄かったら大体パンタグラフ式ですが、ラバードーム式同様、キートップを外してみれば確実に構造が分かります。

パンタグラフに似た支持構造が見えればパンタグラフ式です。

バックリングスプリング式

  • 1本の強力なスプリングを採用した構造
  • 確実なクリック音と硬くて重い、独特の打ち心地
  • 持ってたら確実に自慢できるマニア垂涎の代物!
  • 現在は殆ど取り扱いが無く、価格は未知数(30000円~?)

IBM社が特許を取得した(現在は既に特許満了)バックリングスプリング式、別名屈伸ばね機構とも呼ばれるキー構造で、1986年ごろから数年の間製造されたModel-Mシリーズが有名です。

ラバードームではなく1本の強力なスプリングを採用した構造になっており、押下していくとある一点でスプリングが折れ曲がりスライダと接触することによって「カシュンカシュン」といったような音が発生する仕組みになっています。構造上チャタリングは発生しません。

チャタリングとは、キーを1回押下しただけにも関わらず、細やかな振動によりオンオフが細かく繰り返され、結果複数回入力されてしまうこと。
ゼノン
ゼノン
今や目にすることも無いですがIBMの潤沢なコストを掛けて作り上げたマニア垂涎のキーボードです。

打ち心地はタイプライターのように爽快で硬質

キートップとスライダが完全に接触したら、それ以上押せない仕組みになっているため、明確な底付き感があり、ラバードームの曖昧な底付き感とは全く異なるものとなっています。スプリングが強力なため硬質な打ち心地で、スプリングが折れ曲がる時には甲高い打鍵音があります

また、押下圧は70gと重く、メカニカルのCHERRYスイッチで例えると白軸と同等です。緑軸より10g軽く、黒軸より10g重いので、かなり重量級のスイッチとなっています。

欠点は高価で規格が古い

スプリングが屈伸する構造上、元の位置に戻す必要があるため高速なタイピングを行うことはできません。また、製造当時は名機と呼ばれカルト的な人気を誇っていましたが、構造的にコストが高くなりがちで、当然当時も高価で販売していました。そして何より内部に鋼板が入っているため重量2.27kgと非常に重く、古いキーボードゆえに接続規格はATプラグになります。

プレミア価格

製造当時も高価な代物でしたが、明確な価格は見当たりませんでした。また見つけたら追記いたします。

ヤフオクで確認しましたが、2018年11月現在、直近の出品は2件、落札価格はジャンクのIBM Model-M SpaceSaver 85key 1394047で13,511円、IBM Model-M SpaceSaver 1391472で29,150円ですね。

ジャンクで1.3万とは恐れ多い限りです。みんな実家に帰ってModel-Mを探してみてくれ!

判別方法

もはやこの機構を持つキーボードに遭遇するようなツワモノは判別方法なんて既にご存知だとは思いますが、これも抜けばすぐに分かります。

というか抜かなくても背面を見てModel-Mと書いてあればそれはModel-Mです。

さいごに

ふう。かなり疲れました。バックリングスプリング式については私も詳しく知らなかったので思わぬ収穫と言えます。次はメカニカルスイッチの機構について解説していく予定です。キーボードの記事ばっかりになっちゃってしまいました。でも説明しきってから次に行きたい精神。がんばります。

メカニカルタイプ・静電容量無接点方式については下記をご覧ください。

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